コーヒーを友人に薦める時、友人の家族構成をまず確認します。主に、妊娠中の女性はいないか、小さな子供はいないか、などです。それはもちろん、これまでさんざん述べたとおり、コーヒーに入っているカフェインが妊娠中の女性と子供によくない影響を及ぼす可能性があるからです。
そして、カフェインレスコーヒー(デカフェ)に関しても同様です。よく、「カフェインレスコーヒーならそんな気を遣うことはないんじゃない?」と言われますが、それでも念のために確認します。そして忠告します。
カフェインレスといっても、カフェインがないわけではない、と。
カフェインレスコーヒーは読んで字のごとく、「カフェインがレス(無い)のでしょう?」と思われているかもしれません。
確かに「~レス(~less)」は「~がない」「~のない」と言った意味で使われていますので、言葉の響きからすると、カフェインレスコーヒーと言われれば上記の訳通り「カフェインがない」または「カフェインのない」コーヒーとなります。
しかし、カフェインレスコーヒーは、カフェインが無いわけではありません。
抽出法にもよりますが、現在のカフェインレスコーヒーは、99%以上のカフェインが取り除かれたコーヒーを示します。つまり、100%カフェインが取り除かれたわけではないのです。
そもそもカフェインレスは和製英語です。
海外で使えば「??」となります。
日本だけで使える言葉ですのでご注意ください。
本来の、「カフェインが無いコーヒー」を表す英語は以下の通りです。
「caffeine-free」
「uncaffeinated」
「non-caffeinated」
「decaffeinated」
海外でカフェインの「まったく」入っていないコーヒーを飲みたい時には、これらの言葉を使ってください。
デカフェの由来は、上記の「decaffeinated」を略したものです。
意味合い的には、カフェインが全く入っていないことになっているデカフェですが、おそらく、99%以上もカフェインが取り除かれたコーヒーなら、もうカフェインが無いといってもいいんじゃない?といった、接待ゴルフのOKパットのような忖度が働いたのか、は知りませんが、誤差の範囲、ということでしょう。
そのため、カフェインレスコーヒーは、摂取してもカフェインによる問題が引き起こされないものとして考えられています。
妊娠中の女性は、一日コーヒー一杯程度のカフェインなら許容範囲内、とされています。そのため、数字上では、99%以上カフェインが取り除かれているとされているカフェインレスコーヒー(デカフェ)を100杯程度は飲んでいいことになるでしょう。
しかし、カフェインは少なからずあるのです。そのため、薦める以上は念のため、忠告するのです。
もしあなたが手術をするとき、99%成功する医者と100%成功する医者を選べと言われればどちらを選ぶでしょうか?
おそらく、いま、答えを出されたとおりです。数字の大小ではありません。「ある」のと「ない」のでは、 雲泥の差があるのです。
確かに、100杯飲んでようやく一杯に匹敵する程度になる、と考えれば、カフェインレスコーヒーを飲むにしても、一日多くても4~5杯程度でしょうから、誤差の範囲でしょう。ですので、カフェインレスコーヒーは、世間で言われている通り、概ねカフェインの影響はないコーヒーと言えるでしょう。
別に購入するなとは言いません。さんざん言っているように、数字上では、カフェインがほぼ無いものですから、一日に100杯も飲まない限り、いや、100杯飲んでもカフェインとしては問題ないでしょう。100杯飲んだ時のおなかのほうが心配になるくらいです。
ただし、カフェインレスという言葉を額面通りに受け取ってはいけないことを皆さんには心の片隅にでも置いておいてもらいたいのです。
カフェインレスコーヒーは、カフェインの無いコーヒー、ではなく、カフェインのほぼ無いコーヒー、だということを。
おそらく、カフェインレスコーヒーを購入される方は、カフェインに気を付けている方でしょう。その中でも、カフェインレスという言葉を見て、カフェインが無いコーヒーだと勘違いされている方もおそらくいるでしょう。
しかし、カフェインを完全に絶ちたい、全く摂取したくない、という方もおられるかと思います。そんな方々のためにも、カフェインレスはカフェインレスにあらず、ということをお伝えしなければなりません。
ここまで執拗にカフェインレスコーヒーに注意を喚起しておきながら今更ですが、実際、カフェインレスコーヒーは、飲み物の中でも、かなりオススメのカフェインの少ない飲み物です。
あなたは飲み物と言えば何を思い出しますか?
コーヒー、紅茶、緑茶、コーラ、烏龍茶、ほうじ茶・・・・
他で言うと、ジュースなどもありますが、上記で上げた飲み物はすべて、カフェインが含まれています。コーヒーに及ばないまでも、無視できない含有量を誇ります。つまり、水以外の、手軽な飲み物として思いつくほとんどのものに、カフェインが入っているということです。
そして、これらのカフェインレスの物は、カフェインレスの紅茶や緑茶などがありますが、カフェインレスコーヒーよりも、お目にかかる機会があまりありません。
そうなると、カフェインを遠ざけたい方は、水を飲むかしかありません。
そうするとティータイムを水で過ごすことになり、日々のいろどりが失われて味気ないものになってしまいます。
そこで、手に入りやすいカフェインのないもので、ティータイムにうってつけなのがカフェインレスコーヒーになります。カフェインの少ないもので、これほどの味わいを出す飲み物はそうありませんから。
その市場の規模から、早くに必要とされ、早くに生み出され、比較的安価で手に入れやすいカフェインレスコーヒー。
飲み物としてはカフェインが多かったからこそ早くに生まれたカフェインレスコーヒーが、コーヒー業界を救う、そんな未来がそう遠くなく訪れるような気がします。