コーヒーがカリフォルニア州で訴えられた理由

コーヒーに関して、最近、気になるニュースがありました。

「カリフォルニア州のスターバックス等のコーヒー販売者は、コーヒーの発がん警告文を載せなければならないと判決が下される」

下された判決の記事のおおまかな訳は以下の通りです。

「スターバックスやその他のコーヒーを販売する企業は、カリフォルニア州で販売するコーヒーに発がん警告文を載せなければならないとロサンジェルスの裁判官は判決を下しました。そして、これらの企業には数百万ドルの罰金が科せられる可能性があります。」
事の発端は、ある非営利団体がスターバックスを含むおよそ90社のコーヒー小売店に対して癌を引き起こす可能性のある化学物質が商品に含まれる場合消費者に対して警告しなければならないと定めるカリフォルニア州の法律に違反していると訴えたことです。
カリフォルニア州では、
1986年に成立したカリフォルニア州法「プロポジション65(Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986)」日本語訳:(安全飲料水及び有害物質施行法)という州法があります。こちらも、大まかにいうと、カリフォルニア州が制定した「癌または生殖毒性を引き起こす化学品のリスト」に載っている物質が含まれた商品を販売するときには警告文を提示しなければならない、というものです。

今回、コーヒーがそのカリフォルニア州法「プロポジション65」にひっかかったのは、コーヒー豆を焙煎する過程で発生する、「アクリルアミド」です。
これは、コーヒー特有のものではなく、焼き魚やフライドポテト、トースト(主にパンの耳)、麦茶やクッキーなどにも含まれているものです。

列挙してみるとお気づきの方も多いかと思いますが、揚げたり焦がしたりすると発生する我々の身の回りにありふれた、日常生活で発生しやすい物質なのです。そして、「プロポジション65」とは、「アクリルアミド」を含め、人体に危険とみなされる物質が含まれる商品を販売する際には警告文が必要で、今回はその警告文を出さなかった、ということで裁判となったのです。

そんな法律、むちゃくちゃだな、と思われるかもしれませんが、アクリルアミドは確かに危険性を訴えられています。日本もたばこなどに警告文を載せているので、危険性があるなら警告文を出すべきでしょうし、人々の生命を守ることに万全を期しているということで、為政者としては正しいのかもしれません。

余談ですが、この州法でカリフォルニア州で売られているミネラルウォーターなどにもこの警告文が提示されているようです。

カリフォルニア州で売られているものにはほとんどこの警告文が付いている、と揶揄されているそうです。そして、この州法により、カリフォルニア州に進出する企業は、そうとうに神経を使わざるを得ないようです。

 

このアクリルアミドですが、農林水産省が公表している数字では、インスタントコーヒーが0.58mg/kgで、レギュラーコーヒーがその半分ぐらいですので、コーヒーの中ではインスタントが高めですが、それでも驚くほど高いわけではありません。キロで、ですから、キロも飲めませんよね。たとえキロを飲んでもそれほど大した量ではありませんし、キロで飲んだら別の何かで体壊しそうです。

他にも、揚げ物や焼いたもののほとんどにアクリルアミドは入っているので、今更コーヒーを避けたところでそれほど変わらないかもしれません。

あとは皆様の判断にお任せするところです。

 

デカフェ《カフェインレスコーヒー》のリスクは?

水抽出とCO2抽出は健康上のリスクをもたらさないと言われ、溶媒抽出はコーヒー業界で論争の対象となっています。

溶媒抽出に使用する薬液は、少量でも吸入すると、咳、息切れの原因となります。高用量では、頭痛、吐き気、嘔吐、めまい等を引き起こし、実験動物において肝臓および肺癌を引き起こすことが判明しています。

デカフェが必要とされる理由

 

しかし、1999年にFDA(アメリカ食品医薬品局)は、デカフェ《カフェインレス》コーヒーで摂取する痕跡量が健康に与える影響は少ないと結論づけました。ただしFDAは、残留物は製品の10ppm以下、すなわち0.001%以下に厳格に制限しています。

コーヒー生産者は、酢酸エチルで脱カフェイン化された豆は、その化合物がいくつかの農産物に天然に存在するため、「自然に脱カフェイン化」しているといいます。

要するに、今日のカフェイン処理工程で使用されている溶剤は、以前よりもはるかに安全であり、一般的に微量でしか見つからないということです。

気になるようでしたら、お店の方に抽出方法をお問い合わせください。

デカフェ《カフェインレスコーヒー》の成り立ち

1900年代初頭、コーヒー豆の輸送中にコーヒー豆が海水に浸され、自然にカフェインの一部が抽出された後、ドイツのコーヒー販売会社ルートヴィッヒ・ロゼリウスが偶然、デカフェ《カフェインレスコーヒー》を発見しました。

数年後、ロゼリウスは脱カフェインする手段として初めて特許を取得しました。しかし、彼の方法は、塩水だけでなく、ベンゼンという強力な化学溶剤も使用しました。

(ベンゼンは吸入すると少量でも眠気、めまい、頭痛、目、皮膚、呼吸器の刺激を引き起こすことがあります。妊婦の血液疾患、および胎児発達の問題に影響を及ぼすともいわれています。)

 

いまでは、コーヒーメーカーはより安全なカフェイン除去方法に切り替えましたが、カフェインを取り除くために強力な化学物質を使用しているものも多くあります。その一方で、カフェインと共にコーヒーの健康的な化合物が失われているのでは、とも言われています。

 

通常のコーヒー豆からカフェインを除去するには、3つの重要な方法があります。最も一般的なものは化学溶剤の使用するもの。そして液体の二酸化炭素(CO2)を使用。最後は水を使用したものです。

美味しいデカフェを飲もう

溶媒抽出

1906年にドイツで開発された、世界最初の脱カフェイン法。ケミカル・メソッド(chemical method又はprocess)と呼ばれます。エチルアセテート(天然には果実に含まれる)やメチレンクロライド(塗料、医薬品などの産業用に一般的に使用される)などの合成化学物質に依存したもので、カフェイン以外の成分も抽出してしまう欠点があります。

 

CO2(二酸化炭素)抽出

1974年に開発された、二酸化炭素でカフェインを抽出する方法です。

薬(溶媒)を使用しないので、環境面においても優れています。

 

水抽出

ウォーター・メソッド(water method又はprocess)、またはスイス式水抽出法(Swiss water method)と呼ばれています。1941年に開発され、1943年にアメリカで特許申請されました。

コーヒー生豆を水槽に入れ、水通しをしてカフェインとそのほかの水に溶けやすい成分も抽出します。そして抽出した水から有機溶媒を使ってカフェインだけを除去して残った成分を再び生豆に戻す方法です。

カフェイン以外を取り除かないことから、最も風味豊かな方法と言われていますが、そのため大変高価になり、大規模に生産することが困難な方法です。

マウンテンウォーター製法という水抽出法の名称を耳にすることがあるかもしれませんが、これはメキシコの山の水を使った水抽出法の名称です。

 

上記のとおり、3種類の製法でデカフェは作られていますが、ご覧のとおり、デカフェはカフェインのあるコーヒー豆からカフェインを抽出して作られることから、完全にカフェインを除去できているとは言えないものなのです。

限りなくカフェインを取り除いたコーヒー豆(ただし、カフェインが無いとは言ってない)、それがデカフェ《カフェインレスコーヒー》です。

カフェインレスとデカフェの違い

ファーストウェーブと言われる、日本にインスタントコーヒーが来て空前のコーヒーブームが到来してほぼ半世紀。いまやサードウェーブというコーヒーの新たなムーブメントが来ていると言われています。

それほど日本に根付いたコーヒー文化に、カフェインフリーカフェインレスデカフェというカテゴリーがあることにお気づきでしょうか?

コーヒーと言えばカフェインが入っていて、眠気覚ましに飲む、というカフェインの効果を期待して飲まれている方も多いと思います。

そのカフェインの効果にも、良い面と悪い面があります。

カフェインの良い面を端的に言うと、眠気覚ましやリフレッシュに効果的であり、

カフェインの悪い面を端的に言うと、多く常用すると中毒症を引き起こしたり、妊婦の方や子供に害を及ぼす場合もあります。

コーヒーにはカフェインが入っている

その悪い面を取り除いてコーヒーを楽しみたい、という需要が今高まっています。

その需要にこたえるカテゴリーとして、カフェインフリーカフェインレスデカフェなどがあります。

でも、カフェインフリーカフェインレスデカフェって何が違うのだろう?呼び方の違い?両方ともカフェインが入ってないのでしょう?と思われた方も多いかと思われます。

その違いを説明していきたいと思います。