カフェインレスはカフェインがレスではない?

コーヒーを友人に薦める時、友人の家族構成をまず確認します。主に、妊娠中の女性はいないか、小さな子供はいないか、などです。それはもちろん、これまでさんざん述べたとおり、コーヒーに入っているカフェインが妊娠中の女性と子供によくない影響を及ぼす可能性があるからです。

 

そして、カフェインレスコーヒー(デカフェ)に関しても同様です。よく、「カフェインレスコーヒーならそんな気を遣うことはないんじゃない?」と言われますが、それでも念のために確認します。そして忠告します。

カフェインレスといっても、カフェインがないわけではない、と。

 

カフェインレスコーヒーは読んで字のごとく、「カフェインがレス(無い)のでしょう?」と思われているかもしれません。

確かに「~レス(~less)」は「~がない」「~のない」と言った意味で使われていますので、言葉の響きからすると、カフェインレスコーヒーと言われれば上記の訳通り「カフェインがない」または「カフェインのない」コーヒーとなります。

しかし、カフェインレスコーヒーは、カフェインが無いわけではありません。

抽出法にもよりますが、現在のカフェインレスコーヒーは、99%以上のカフェインが取り除かれたコーヒーを示します。つまり、100%カフェインが取り除かれたわけではないのです。

 

そもそもカフェインレスは和製英語です。

海外で使えば「??」となります。

日本だけで使える言葉ですのでご注意ください。

本来の、「カフェインが無いコーヒー」を表す英語は以下の通りです。

「caffeine-free」

「uncaffeinated」

「non-caffeinated」

「decaffeinated」

海外でカフェインの「まったく」入っていないコーヒーを飲みたい時には、これらの言葉を使ってください。

 

 

デカフェの由来は、上記の「decaffeinated」を略したものです。

意味合い的には、カフェインが全く入っていないことになっているデカフェですが、おそらく、99%以上もカフェインが取り除かれたコーヒーなら、もうカフェインが無いといってもいいんじゃない?といった、接待ゴルフのOKパットのような忖度が働いたのか、は知りませんが、誤差の範囲、ということでしょう。

そのため、カフェインレスコーヒーは、摂取してもカフェインによる問題が引き起こされないものとして考えられています。

 

妊娠中の女性は、一日コーヒー一杯程度のカフェインなら許容範囲内、とされています。そのため、数字上では、99%以上カフェインが取り除かれているとされているカフェインレスコーヒー(デカフェ)を100杯程度は飲んでいいことになるでしょう。

しかし、カフェインは少なからずあるのです。そのため、薦める以上は念のため、忠告するのです。

もしあなたが手術をするとき、99%成功する医者と100%成功する医者を選べと言われればどちらを選ぶでしょうか?

おそらく、いま、答えを出されたとおりです。数字の大小ではありません。「ある」のと「ない」のでは、 雲泥の差があるのです。

確かに、100杯飲んでようやく一杯に匹敵する程度になる、と考えれば、カフェインレスコーヒーを飲むにしても、一日多くても4~5杯程度でしょうから、誤差の範囲でしょう。ですので、カフェインレスコーヒーは、世間で言われている通り、概ねカフェインの影響はないコーヒーと言えるでしょう。

別に購入するなとは言いません。さんざん言っているように、数字上では、カフェインがほぼ無いものですから、一日に100杯も飲まない限り、いや、100杯飲んでもカフェインとしては問題ないでしょう。100杯飲んだ時のおなかのほうが心配になるくらいです。

 

ただし、カフェインレスという言葉を額面通りに受け取ってはいけないことを皆さんには心の片隅にでも置いておいてもらいたいのです。

カフェインレスコーヒーは、カフェインの無いコーヒー、ではなく、カフェインのほぼ無いコーヒー、だということを。

おそらく、カフェインレスコーヒーを購入される方は、カフェインに気を付けている方でしょう。その中でも、カフェインレスという言葉を見て、カフェインが無いコーヒーだと勘違いされている方もおそらくいるでしょう。

しかし、カフェインを完全に絶ちたい、全く摂取したくない、という方もおられるかと思います。そんな方々のためにも、カフェインレスはカフェインレスにあらず、ということをお伝えしなければなりません。

 

ここまで執拗にカフェインレスコーヒーに注意を喚起しておきながら今更ですが、実際、カフェインレスコーヒーは、飲み物の中でも、かなりオススメのカフェインの少ない飲み物です。

あなたは飲み物と言えば何を思い出しますか?

コーヒー、紅茶、緑茶、コーラ、烏龍茶、ほうじ茶・・・・

他で言うと、ジュースなどもありますが、上記で上げた飲み物はすべて、カフェインが含まれています。コーヒーに及ばないまでも、無視できない含有量を誇ります。つまり、水以外の、手軽な飲み物として思いつくほとんどのものに、カフェインが入っているということです。

そして、これらのカフェインレスの物は、カフェインレスの紅茶や緑茶などがありますが、カフェインレスコーヒーよりも、お目にかかる機会があまりありません。

そうなると、カフェインを遠ざけたい方は、水を飲むかしかありません。

そうするとティータイムを水で過ごすことになり、日々のいろどりが失われて味気ないものになってしまいます。

そこで、手に入りやすいカフェインのないもので、ティータイムにうってつけなのがカフェインレスコーヒーになります。カフェインの少ないもので、これほどの味わいを出す飲み物はそうありませんから。

 

その市場の規模から、早くに必要とされ、早くに生み出され、比較的安価で手に入れやすいカフェインレスコーヒー。

飲み物としてはカフェインが多かったからこそ早くに生まれたカフェインレスコーヒーが、コーヒー業界を救う、そんな未来がそう遠くなく訪れるような気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん子供にも危ないカフェイン

カフェインの危険性を語るときに、どうしても妊婦さんに焦点を当ててしまいがちですが、実際に影響を及ぼすのはお母さんに、ではありません。胎児、つまり赤ちゃんに、です。

妊娠中にアルコールを多く飲むと赤ちゃんが「胎児性アルコール症候群(FAS)」という先天性疾患にかかると言われていますが、こちらは母体、つまりお母さんがアルコールを飲まなければ絶対に起こりえない疾患です。それはどういう意味かというと、赤ちゃんは、お母さんの飲食物にとんでもなく影響される、ということなのです。

そして、カフェインも、お母さんを通じて、赤ちゃんにわたります。胎児の時は、へそを緒を通じて、乳児の時は、母乳を通じて。

カフェインが危ない危ないといっても、私たちは実感がありませんでした。周りを見渡せば、普通にコーヒーや紅茶があふれていますし、エナジードリンクも種類を増して我々の生活に浸透しています。

危なかったらこんなに簡単に手に入るものでしょうか?あまりに日常に溶け込みすぎていて、実感がないのも無理はありません。

そこで最近、驚くべきニュースが入ります。

アメリカで、10代の子供が、エナジードリンクを大量摂取して死亡したケースが報告されたのです。

そして、日本でも20代男性がエナジードリンクを過剰に摂取してカフェイン中毒で死亡した国内初のケースも報告されました。

カフェインも大量摂取すると危険と言われる致死量があります。それは、コーヒーで言うと、相当無理をしなければ飲めない量であったりと、考慮に値しない量でした。

それが最近のエナジードリンクなどのカフェインが大量に摂取できる商品が現れたことで、ちょっと無理をすれば摂取できてしまう可能性が生まれたのです。

摂りすぎた例を挙げましたが、大人が摂りすぎれば危険なカフェインが、小さな子供や赤ちゃんに安全なわけがありません。

自分の身に降りかかれば実感も沸くでしょうが、いつの間にか子供に・・・なんてことになれば、悔やんでも悔やみきれないでしょう。

我々は、カフェインに対する認識を改めなければなりません。

日常で普通に飲んでいるコーヒー一杯でも、子供にはとんでもない劇物になる恐れがある、なんて、子供にはわかりません。私たち大人が、しっかりとした認識を持って、子供から、カフェインを遠ざけなければなりません。

カフェインは身の回りのどこにでもあります。

その気になったら、簡単に手に入ります。そして、簡単に摂取できます。

まず、身の回りのカフェインを確認しましょう。そして、アルコールの様に、大人がしっかり管理しましょう。ジェットコースターの身長制限の様に、ある程度成長するまで飲ませない。そう言った毅然とした決まりをまず作ってみるのもいいかもしれません。

しかし、大人が美味しそうに飲んでいたり、エナジードリンクの様にジュースと見間違うようなものが目の前にあると、子供はどうしても飲んでみたくなります。そのため、子供がいる時には、いっそのこと、周りからカフェインの入った飲料を排除してみるのはいかがでしょうか。

もちろん、コーヒーや紅茶を好きな方には苦痛でしょう。ティータイムをなくせとまでは言いません。子供が小さいうちは、すべてをカフェインレス商品に変えてしまうというのはどうでしょう。

昔に比べ、カフェインレス商品は手に入りやすくなっています。値段はまだやはり高くつきますが、子供の安全を考えれば、一考の余地があると思います。

大人が危ないと思っていないものが、子供には危ない、というものはいくらでもあります。もしかすれば、自分はカフェインの脅威から、運よく回避できただけに過ぎなかったのかもしれません。だからカフェインを怖いものと思っていない方、たくさんいるのではないでしょうか。

私も毎日コーヒーを2・3杯は飲みます。

夜遅くに飲むと、いざ眠りにつこうかと思った時になかなか眠れない、と言った経験ももちろんあります。

今思えばあれがカフェインの効果か、と自覚はするものの、決定的に体が悪くなったり、ずっと目がさえたりするわけではないので、時間がたてばすっかり忘れてしまう程度の物です。

でも、カフェインはありましたよね?カフェインの存在を身をもって確かめましたよね?

確かにカフェインは私たちの身の回りにある。それを自覚し、危険なものであると認識すれば、子供たちを守ることにつながるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

カフェインのリスクを再確認

デカフェ《カフェインレスコーヒー》の利点の中で、カフェインをあまりとらずにコーヒーを楽しめること、というのがありますが、そもそもカフェインはどう危なくて、コーヒーだけに気を付けていればいいのか?という初歩的なことが抜けていたようなのでここでカフェインについて改めて、日常のどこにカフェインがあるかとか、カフェインのリスクを検証してきましょう。

そもそも「カフェイン」はどう危ないのか。

カフェインは人体の中枢神経を興奮させる効果があり、代表的な効果は覚せい効果です。眠気を遠ざけたり、気分を高揚させたりする効果です。使用例で言うと、運転中の眠気覚ましや朝の気付けの一杯、と言ったところです。

言葉にすると良いように感じますが、言葉を変えると、不眠や精神興奮を引き起こす刺激的な物質なのです。

そして、医学と科学の発展とともに、カフェインも研究されてきました。

その結果、あくまで統計や研究結果ですが、カフェインが主に人間に悪影響をもたラスのではないかと推測されるもののなかに、妊娠中の女性や子供への影響が特筆されるようになりました。

妊娠中の母体(女性)がコーヒーや紅茶などでカフェインを摂取した場合、カフェインが胎盤を通じてお腹の赤ちゃんに影響をもたらすのでは、という研究結果があり、死産(流産)や早産、発達障害や低出生体重の子供が生まれる可能性を高める原因になっていると推測されています。

それでも、生活をしていればカフェインはどこからもたらされるかわからず、完全に避けることはできません。カフェインは色々な飲み物や食べ物に入っています。妊婦の一日のカフェイン摂取の許容量は100mg程度と言われています。本当は、まったく摂らないようにするべきですが、それはほぼ不可能と言っていいでしょう。

それではまず、先にどの飲み物にどれだけカフェインが入っているかを知っていきましょう。

コーヒー一杯(150mlとして)=50~100mg

(インスタントコーヒーはやや少なくなります)

紅茶1杯(150mlとして)=40~70mg

煎茶やウーロン1杯(150mlとして)=20~40mg

玄米茶やほうじ茶など1杯(100mgとして)=10~20mg

玉露1杯(100mgとして)=100~200mg

麦茶=0mg

ココア=10~20mg

コーラ(100ml)=10mg前後

エナギジードリンク=商品によりますが少ないものでも30mg~

チョコレート(50g)=20mg前後

 

 

以上が、ざっくりですが、カフェインのだいたいの含有量です。

羅列して気づいたのですが、自然の水以外で、人類が発見、発明または作り出した飲み物のほとんどに、カフェインは入っています。そうなると、我々が飲む物に関しては水や麦茶でない限り、カフェインを遠ざけるのは難しい状態になっています。ジュースという手もありますが、砂糖などの大量摂取で別の病気の恐れが出てきます。そうなると答えは「水だけを飲んでいればいい」ですが、コーヒーや紅茶が日々の習慣にもなっている我々にとって、頭でわかっていても、つい、いつものように飲んでしまう、そんなこともあるかもしれません。

話を戻しまして、日々の生活からカフェインを100mgぐらいまでに抑えるには、相当の気遣いが必要となるでしょう。食べ物で言うと、隠し味にチョコレートやコーヒーの粉をいれているものもあるかもしれません。どこでどう摂取するかわからないほど、我々の身近には、カフェインがあふれているのです。

コーヒーに関しては、ほぼ1杯で許容量近くまで行ってしまいます。

紅茶も2杯程度でしょうか。

緑茶などでも、5杯程度。暑い季節など、水分を特に必要とする時期にはさらなる注意が必要になるでしょう。

そこで必要となったのがカフェインレス飲料です。

デカフェ《カフェインレスコーヒー》は、様々な抽出法はありますが、ほぼ99%以上をカットしています。0ではありませんが、デカフェ《カフェインレスコーヒー》だと、カフェインの一日の許容量を考えると、100杯ぐらい飲んでも大丈夫、ということになります。

そして、紅茶にもデカフェ《カフェインレスコーヒー》のように、カフェインを抽出する方法を経てノンカフェインティーという紅茶を製造しています。それは主に超臨界二酸化炭素抽出法いう方法で製造されています。こちらもデカフェ《カフェインレスコーヒー》と同じように99%以上のカフェインが抽出されていますので、計算上は1日150杯ぐらい飲んでも大丈夫、ということになります。

どちらもそんなに飲む前に、おなかの許容量が持たないでしょうが(笑)

そもそも女性や子供に限らず、男性も、本来はカフェインを摂らない方がいいのです。体格による差異もありますが、だいたいコーヒー4杯程度と言われています。

皆さんも、カフェインの摂取量には気を付けましょう。

スイスウォーターのデカフェ《カフェインレスコーヒー》を焙煎してみよう

先日、焙煎したデカフェ《カフェインレスコーヒー》「モカ シダモ G4」は、液体二酸化炭素抽出法(CO2抽出法)という製法で作られたデカフェ《カフェインレスコーヒー》のコーヒー豆だったから、というわけではないかもしれませんが、割れた豆が多く、ハンドピックのお世話になるデカフェ《カフェインレスコーヒー》のコーヒー豆でした。

今日は、スイス式水抽出法(Swiss water method)、スイスウォーターという水抽出法で作られたデカフェ《カフェインレスコーヒー》を焙煎して見ましょう。

スイスウォーター(水抽出法)のタグ

商品名は「バリ神山 デカフェ」、インドネシアのバリ島で生産されたコーヒー豆を上記のスイス式水抽出法(Swiss water method)でデカフェ《カフェインレスコーヒー》にしたものです。

水に通す製法なので、見た目はとてもきれいです。割れたものも少なく、変色はほとんど見受けられません。コーヒー豆の大きさもほぼ均一で、見た目が違うものが一目でわかったりと、ハンドピックもそれほど手間のかかるものではありませんでした。ハンドピックの作業に関しては、こちらのほうが圧倒的に楽です。

スイスウォーターのデカフェ〈カフェインレスコーヒー〉はきれい

焙煎する前のコーヒー豆の臭いも、多少はしますが、前日焙煎した「モカ シダモ G4」よりはしません。「モカ シダモ G4」は、「ナチュラル」特有の植物の匂い(野生、という表現が正しいかは分かりませんが、荒々しさというか)がしました。食品としては、そちらのほうが好感が持てるかもしれません。今回の「バリ神山 デカフェ」のコーヒー豆は、あまり臭いがしない分、なにか機械的な、人工的な味気のない印象を持ちました。あくまで第一印象が、ですが。

さて、ハンドピックも終えて、いよいよ焙煎です。ハンドピックであまり目減りしない分、分量の調整が楽で助かります。

バリ神山のデカフェ〈カフェインレスコーヒー〉をハンドピックする

デカフェ《カフェインレスコーヒー》のコーヒー豆特有かも知れませんが、デカフェ《カフェインレスコーヒー》のコーヒー豆を焙煎すると、目を離すとあっという間にコーヒー豆が大きくなったりします。もしかすれば、そうとう水分を含んでいるのでしょうか?デカフェ《カフェインレスコーヒー》の焙煎に関しては、この膨らむ前後がポイントのような気がします。

やや苦味をつけたいなら結構膨らませたり、あまり苦味がいらないなら、それほど膨らまなあたりで焙煎を止めるなど、お好みの焙煎を探ってみてください。

 

 

 

デカフェ《カフェインレスコーヒー》を焙煎してみよう

今回は、デカフェ《カフェインレスコーヒー》の「モカ シダモ G4」が手に入ったので、焙煎しながら、デカフェ《カフェインレスコーヒー》のコーヒー豆の特徴とか、気になったところを上げてみたいと思います。

 

その前に、今回焙煎するデカフェ《カフェインレスコーヒー》「モカ・シダモ・G4」というデカフェ《カフェインレスコーヒー》のコーヒー豆の説明を。

 

モカ」=サウジアラビアのあるアラビア半島の南西部にあるイエメン共和国の紅海に面した港の一つ「モカ」港から出荷されたコーヒー豆の総称のようなもので、コーヒー豆の品種名ではないが、品種名代わりに使用されている名称で、ジャマイカの「ブルーマウンテン」と同じようにブランド名ともいえます。主にイエメン産と海をまたいだ隣国のエチオピア産のコーヒー豆が、この「モカ」港に集められ、出荷されました。それらのコーヒー豆を「モカ」と称しています。

「シダモ」=エチオピア南部のコーヒー豆の有名な産地でもはやブランド名にもなっています。同じシダモ地区でも特に優良なコーヒー豆を産出する「イルガチェフ」は、高いブランド力を誇っています。

G4」=国によっては、グレード(等級)を表すことがあるので、グレード4、つまりランクの低いコーヒー豆?と思われがちですが、今回のモカに関しては、「ナチュラル(非水洗式)」と言われるコーヒー豆の精製方法で、主に天日干しなどで精製されたコーヒー豆に付けられる表記です。

ナチュラル」は、果肉の付いた状態で天日干しするため、発酵した果肉が甘い風味とコクを与え、そのコーヒー豆の個性ある深い味わいが得られる製法です。

一方、「モカ」の「G2」と呼ばれるものは「ウォッシュド(水洗式)」と言われる精製方法で作られたコーヒー豆ですが、現在、そのほとんどを生産していたエチオピアのコーヒー豆から、日本の基準値を超える残留農薬が検出されて輸出されなくなってから、日本ではほとんど流通していません。

 

さて、今回焙煎した「デカフェ・モカ・G4」ですが、デカフェ《カフェインレスコーヒー》のコーヒー豆の特徴である、割れ豆などの形の悪いコーヒー豆が多く見受けられます。

デカフェ・モカ・G4

まず、これらをハンドピック、取り除く作業をしていきましょう。

 

ハンドピックしよう

「ナチュラル」の豆に多い「黒豆」と言われる発酵しすぎて黒ずんだコーヒー豆も多くみられます。併せてこれらも取り除いていきましょう。

デカフェには割れ豆などが多い

意外と多いです。片手だとイライラしてきますので、いつのまにか両手で取り除けるようになります。(笑)

よく見られる割れ豆

変色した豆など

デカフェ《カフェインレスコーヒー》のコーヒー豆は、デカフェ《カフェインレスコーヒー》ではないコーヒー豆に比べてハリがなくシワシワというか、何か吸い取られたようなミイラのような感じがします。(実際手に取ると固いですが)

あと、色付きもまばらで、悪い豆がどれか、なかなか分かりづらいです。

こういう時は、悪いと思って手に取ったものは全部捨てていきましょう。いいカフェインレスコーヒーを飲むために、妥協してはいけません。豆を惜しんで不味くなってはもったいないですからね。

 

ハンドピックが終わったら焙煎です。「ナチュラル」のコーヒー豆の場合、水洗いする人がいると思います。確かに、水で洗ったらすごい汚れが出ます。手間をかけれる人は洗うことを推奨します。しかし、水で洗うことで余計なコーヒー豆のうまみやらが染み出るかも、と思う人もいるでしょう。私は面倒なので洗いません。(笑)

 

焙煎

焙煎機にもよりますが、私の焙煎機は熱風式なので、やや温度を抑えて、長い時間で浅めに。

デカフェを焙煎

焙煎具合の好みは個人差があります。私個人としては、品種にもよりますが、デカフェ《カフェインレスコーヒー》は浅いほうが好みです。デカフェ《カフェインレスコーヒー》はカフェインがないことで味に物足りなさを感じる人が多いのか、やや深めに焙煎して、苦いことで誤魔化そうという風潮があるような気がします。

カフェイン以外の成分は残っているので、それほど深くなくても十分美味しいと思います。

 

焙煎後も、割れ豆などをハンドピックします。結構見落としていたり、焙煎しないと姿を現さない貝殻豆のような悪い豆などもあります。前後はこまめにハンドピックしましょう。

焙煎した後もハンドピックを忘れずに

 

あとは、いつものように、挽いてドリップするだけです。

 

 

この「デカフェ・モカ・G4」に限らず、デカフェのコーヒー豆は、だいたいがハンドピックに時間を必要とします。

デカフェという性質から、カフェインを抽出する工程でどうしてもコーヒー豆が欠けたり割れたりするからです。

別に割れていても気にしないよ、という方もいるでしょう。もしかすれば、気にしすぎているだけかもしれません。

ただ、ハンドピックをすることで美味しくなるんだ、と暗示をかけることで美味しく感じられるのなら、その作業も安いものだと思います。

気分の問題は、変えられるならいい方向に変えたいですよね。

デカフェ《カフェインレスコーヒー》とポリフェノール

コーヒーにはポリフェノールが多く含まれています。

デカフェ《カフェインレスコーヒー》は、コーヒー豆からカフェインを抽出したものなので、ポリフェノールはデカフェ《カフェインレスコーヒー》になったコーヒー豆に変わらず残っています。

ということは、デカフェ《カフェインレスコーヒー》は、コーヒーのマイナス要素であるカフェインを摂らずに、コーヒーの良い部分のみを摂れる、ということになります。

 

そもそも、ポリフェノールとは何でしょうか。

 

科学的な説明をすると、分子内にフェノール性水酸基を複数もつ植物成分のの総称です。

複数を意味するギリシャ語のPOLY(ポリ)をあわせて「ポリフェノール」となります。

 

コーヒーノキなどの植物は、栄養不足や塩害、水不足などのストレスにさらされた時、防衛のために様々な物質を自ら生み出して抵抗します。

ポリフェノールは、紫外線に抵抗するために植物から生み出されます。

紫外線からの防衛と、紫外線により生み出される活性酸素を緩和する抗酸化作用をポリフェノールは行っています。

コーヒーのポリフェノールは「クロロゲン酸類」といい、緑茶のポリフェノールは「カテキン」、赤ワインのポリフェノールは「アントシアニン」、大豆のポリフェノールは「イソフラボン」、チョコレートのポリフェノールは「エピカテキン」、最近よく聞くウコンのポリフェノールは「クルクミン」と言います。

 

どのポリフェノールも、皆さんどこかで聞いたことがあるかもしれません。名称はともかく、それぞれの植物にポリフェノールがあるということ自体は、皆さんご存知ではないのでしょうか。そして、それぞれの植物が人間に今までもたらしてきたものを考えると、ポリフェノールが体にいいもの、ということも、実感としてご理解いただけたのではないでしょうか。

 

「ポリフェノールが人体に及ぼすもの」

  • 動脈硬化の予防

動脈硬化は体内に生じる活性酸素によってコレステロールが酸化されることで起こります。

ポリフェノールは酸化を抑える抗酸化力があります。

  • 血圧低下作用

動脈硬化の予防とともに、血管のつまりを予防して血管を広く保ちます。

  • アレルギーを抑える

アレルギーを発症する際にも活性酸素が影響しています。

活性酸素を抑えるポリフェノールが、アレルギーを抑制する働きをします。

  • 美容効果と老化の抑制

活性酸素を抑制することは、体内や肌の老化を抑制することに繋がります。

目に見えないお肌の天敵、紫外線による肌細胞へのダメージや、シミの原因になるメラニンなど、紫外線によるダメージのほとんどが活性酸素と関係するため、抗酸化力の高いポリフェノールの効果が認められています。

  • 糖尿病に効果?

膵臓から分泌される、当分を効率的に体内に取り込むインスリンを正常に分泌する効果がポリフェノールにあると言われています。

 

「自然と摂っているポリフェノール」

身近な飲み物のポリフェノールの含有量で言うと、赤ワインが多く、同じぐらいにコーヒーがポリフェノールを含有しています。緑茶、紅茶のポリフェノールは、コーヒーとワインに比べるとおよそ半分ぐらいになります。

コーヒーはワインと同じぐらいポリフェノールを含有している

上記の飲み物を飲んだことがないという人は少ないかと思います。

そして、日本人の生活習慣などを考えると、含有量の多いコーヒーが、日本人に多くのポリフェノールをもたらしていることになります。

では、どうしてコーヒーはポリフェノールが豊富なのでしょうか。

 

それは、コーヒーノキ(コーヒー豆)が育つ範囲が関係しています。

コーヒー豆は、赤道を挟んだ北緯25度と南緯25度の間、いわゆるコーヒーベルトと呼ばれる、熱帯・亜熱帯地域で育ちます。

もちろん紫外線が強い地域で、その紫外線の強さから身を守るために、多くのポリフェノールを生成し、コーヒー豆に凝縮されます。

コーヒーのポリフェノールであるクロロゲン酸類は、生豆の状態が一番多く含まれることになります。焙煎すると少なくなりますが、それでもワインと遜色ないのであれば、もともとの含有量は、ポリフェノールを生み出す植物のなかでも屈指と言えるのではないでしょうか。

 

効果的にポリフェノールを摂取するには、身近な飲み物ではコーヒーが一番効率的ですが、同時にカフェインも摂取することになります。

カフェインは、すでに口を酸っぱくするほど述べている通り、摂取しすぎると危険な物質であり、美容を気にする女性には、カフェインはいい結果をもたらしていません。

紅茶や緑茶にもカフェインが含まれています。

では、何を飲めばいいの?水じゃ味気ないよ。という女性には、カフェインレスの飲み物をオススメするしかありませんが、昔に比べればカフェインレス飲料のバリエーションは増えましたが、いまだになかなか簡単には手に入りません。

その中で一番手に入りやすいカフェインレス飲料は、デカフェ《カフェインレスコーヒー》と言えるでしょう。

今では多くのコーヒーショップに並び、メニューも豊富で、店内で気軽に注文して飲むことができます。

ポリフェノールの含有量が多いコーヒー豆からカフェインを抽出しただけのデカフェ《カフェインレスコーヒー》は、他の飲み物のなかでも群を抜いてポリフェノールが摂取でき、かつ害の少ない女性の味方ともいえるカフェインレス飲料と言えるでしょう。

最近は本当に美味しいデカフェ《カフェインレスコーヒー》がコーヒーショップにも並んでいて、コーヒーが好きな女性にも、納得していただけるコーヒーになっています。

機会がございましたら是非一度お試しください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デカフェ《カフェインレスコーヒー》の現在地

コーヒー豆はコーヒーノキになります。

 

別に変換を忘れたわけではありません。コーヒー豆がなるのは、「リンドウ目アカネ科コーヒーノキ属」に分類される「コーヒーノキ」という植物です。

この「コーヒーノキ」からカフェインを取り除き、カフェインフリーのコーヒー豆を作ろうという研究を過去に耳にしたことがあるのですが、現在どのようになっているか分かりません。おそらく、成功しても実用化まで相当な年月がかかるでしょう。

となれば、現在、カフェインを極力取らずにコーヒーを飲むには、取り除いたカフェインレスコーヒー(デカフェ)しかありません。

デカフェのコーヒー豆はミイラみたいに

(↑普通のコーヒー豆よりなにか吸い取られたかのように見た目がシワシワなのがデカフェのコーヒー豆の特徴です。)

ただ、デカフェ《カフェインレスコーヒー》はコストが多少かかります。そのうえ、製法によっては、大きくコーヒーの味を損ねてしまうものもあります。現在では施設の充実や技術の向上で安定した味を出すようになりましたが、いまだに加工地によっては、大きく味を損なうデカフェを作るところもあります。そして、おおきく味を損なったデカフェを飲んで、がっかりしてデカフェから遠ざかったコーヒー愛飲者の方たちも多いことでしょう。デカフェ《カフェインレスコーヒー》はコーヒーの味がしない、と一度押された烙印は、なかなか消えるものではありません。

コーヒー豆はデカフェ《カフェインレスコーヒー》に限らず高価なものです。一般の方が購入するにも100g平均すると千円前後かかるものです。それを美味しいかどうかわからないものに支払うのをためらうのはわからない話ではありません。

手っ取り早いのは、喫茶店で試しに飲んでみることです。

しかし、デカフェ《カフェインレスコーヒー》を出す喫茶店では、やや深く煎って焦がして味をコーヒーらしい味にしているところが多いです。苦ければコーヒーぽいというのは、いささかお客さんを馬鹿にした行為ではないかと思いますが、実際そうでもしないと多くのデカフェがコーヒーらしい味を出すことは難しいと思われているのでしょう。それがただの苦い水を生み出し、人々をデカフェ《カフェインレスコーヒー》から遠ざけていては、なんのためにデカフェ《カフェインレスコーヒー》が生まれてきたのか分かりません。

しかし、現在、コーヒーの味を大きく損ねているデカフェ《カフェインレスコーヒー》は、少なくなっています。

いえ、選ばれなくなっているといったほうが正しいかもしれません。

それは、サードウェーブとも呼ばれる日本のコーヒー文化の熟成期、日本人のコーヒーに対する情熱がさらに高まったことで、舌の肥えたコーヒー愛飲者が多く生まれ、本当に美味しいデカフェを選択し、美味しくないデカフェを淘汰し始めたのです。現在の情報社会では、信の置けるコーヒーに関して確かな人の発信する情報は、昨日までの情報をアッというまに書き換えてしまいます。デカフェというだけで嫌厭していた人も、多く帰ってくることでしょう。

私も、浅く焙煎しても美味しいデカフェ《カフェインレスコーヒー》に出会いましたが、デカフェ《カフェインレスコーヒー》とは思えないほどしっかりとしたコーヒーの味がする美味しいデカフェ《カフェインレスコーヒー》になっておりました。

おそらく、これから、コーヒー文化が熟成しつつある日本人が、コーヒー豆を自らの舌で、自ら選別する時代がやってくるでしょう。

デカフェ《カフェインレスコーヒー》も、間違いないコーヒーのカテゴリーの中でも多く選ばれる、コーヒー業界の中でも安定した地位を得るだろうと私は思っています。そして、日本人の健康志向に相まって、今よりも多く受け入れられるだろうと思います。デカフェにフレーバーを付けて、今女性の中で大変人気のあるフレーバーコーヒーをカフェインレスのフレーバーコーヒーにすることも可能です。女性に人気のあるフレーバーコーヒーとカフェインレスコーヒーのミックス。相当の人気を博すことでしょう。

もしデカフェ《カフェインレスコーヒー》の株(券)があるなら買っておきたいですね。

おそらく、右肩上がりに高騰するでしょうから。

デカフェ(Decaf又はDecaffeinated coffee)の存在意義

デカフェの存在とは。

コーヒーが、まだ医学的にも科学的にも研究されていない頃、人々は目に届かない世界の情報や耳に入らない情報よりも、手の届く範囲の、つまり、「百聞は一見に如かず」の実感が全ての世界でした。
コーヒーを飲むと眠気が飛んでシャッキリするな、とか、リフレッシュできる、など、生活に利用できる面しか見えていませんでした。
飲んでも人並みの寿命を迎えられるし、いきなり倒れるということもない。周りを見渡してみても、コーヒーで害を受けたということもそうは見聞きしないし、歴史を見ても、先祖代々コーヒーを飲んでいるし、異変というのも聞いたことはない。
我々は、歴史という長い時間にわたる人体実験の結果、コーヒーは安全と思っているだけにすぎませんでした。
やがて医学や科学が発達すると、コーヒーの利点だった「なぜ眠気が飛ぶのだろう?」とか、「なぜリフレッシュできるのだろう?」という利点が、利点だったがゆえに疑問を持たれていきます。我々が生活に活用していたコーヒーの利点は、果たして本当に利点だけなのだろうか、と。
そして医学や科学は、コーヒーの利点がカフェインだったことにたどり着き、カフェインを解明されていくと、いいことばかりではないと、ようやく近年になって表面化してきたのです。
ただ、その時にはコーヒー文化は世界中に広まっており、駅前には喫茶店やコーヒーショップが並び、コンビニでもコーヒーは飲み物の主力と言っても過言ではないほど並んでいます。
それは、危険と言っても、普通に飲めるし特に害も感じず、むしろ手に入りやすい身近な眠気覚ましの方法としての利点のほうが、遠ざける理由よりも優っているからです。
カフェインは医学的にも、摂取しても人体から時間とともに減少していくことは確認されているので、適量であれば摂取する事も問題ないとみられています。
薬でも、分量など注意してください、と注意書きがあるほどです。カフェインも取りすぎなければある程度は大丈夫という見解の方も多いでしょう。

ただ、はっきりと気を付けなければならないのは、妊娠中の方、いわゆる妊婦の方や子供です。
昨今の研究結果を見ても、明らかに妊娠中の方(妊婦)には、子供に影響が出る恐れなどが強く唱えられ、女性に関しても骨折しやすくなるなどの研究結果が出されています。
ただ、そういう人たちが、すぐにコーヒーや紅茶など、カフェインを含む飲み物をやめられるかといえば、そうではありません。
妊娠をされる前には、日常生活には当たり前にコーヒーや紅茶・緑茶はあったでしょう。
人間には水分が絶対不可欠です。水分を取る手段としてコーヒーや紅茶・緑茶は、切り離せない存在になってしまっているのです。
口にするのはただの栄養素ではありません。たんぱく質が欲しければたんぱく質を、水分が欲しければ水を飲んでおけばいい、理屈ではそうですが、それではサプリメントなどでそれらの栄養素が取れれば食事は必要ないのか、となってしまいます。
いつしか人間は時代とともに、栄養を取るために食事をしているのではなく、食事をした結果栄養をとっている生活になってしまったのです。
ただ栄養を摂るのではなく、美味しい食事を求めるように我々は、今更水分を取るのに水だけ、という生活に戻れるはずもありません。
水もミネラルウォーターなどの選択肢が増えているので、水だけでも可能と言えば可能かもしれませんが、ふとした時に紅茶をコーヒーなど、温かいものを飲みたくなる時もあるでしょう。(水も温めれば温かいものと言えますが、白湯ではどこか味気ないでしょうし)
水分を楽しく美味しく摂りたい、そういった欲求に応えてきたのも、コーヒーや紅茶だったのです。

そして本題に戻りますが、妊婦の方々や女性たちからその楽しみを奪うのか、というのは酷な話です。とある調査では、女性の毎日コーヒーを飲む人の割合は、20代でも5割、30代で6割と言われています。それほど、日本にコーヒー文化が強く根付いているのです。駅の周りには大手のコーヒーショップが当たり前かの様にある様子を見れば、納得せざるを得ないところです。

問題ははっきりしています。カフェインです。カフェインさえなければコーヒーや紅茶を飲んでも、楽しんでも問題ないのです。

そして、デカフェ《カフェインレスコーヒー》にはカフェインはほぼ入っていません(0ではありませんが、99%以上のレベルでカフェインは除去されています)。
デカフェ《カフェインレスコーヒー》は、女性の方々が危惧するカフェインを限りなく可能な限り取り除いたコーヒー豆なのです。
デカフェ《カフェインレスコーヒー》は、そんな、コーヒーを楽しみたいという欲求に応える救世主となりうるのでしょうか?
デカフェ《カフェインレスコーヒー》が誕生した当初、危険な薬剤を使った抽出法などでさらに人体を危険にさらすなど、何のためにカフェインを取り除いたかわからない結果に終わりました。
やがて新たな抽出法が見いだされるも、安全性は飛躍的に確保されたものの、カフェインと同時に、コーヒーを彩る風味や味も抽出してしまい、ただの黒い水に成り下がる、といったこともありました。
ただ、それでもデカフェ《カフェインレスコーヒー》は進歩し続けています。それは、カフェインを遠ざけたいが、コーヒーを飲みたいという、コーヒーを愛する人たちに応えるために。
そして最近は、デカフェ《カフェインレスコーヒー》を製造する施設の向上やノウハウの蓄積により、しっかりとカフェインを取り除いたうえに美味しいデカフェが多く作られるようになりました。
過去、デカフェ《カフェインレスコーヒー》を飲んで味にがっかりされた方も多いでしょう。しかし最近のデカフェ《カフェインレスコーヒー》を一度お試しいただきたいのです。
正直、いまだに有名な喫茶店でも美味しくないデカフェ《カフェインレスコーヒー》を出すところは多いです。
カフェインがないんだからこんなものかな、と言い聞かせながら飲んでいる方も多いでしょう。
確かに、デカフェ《カフェインレスコーヒー》を飲んだ時、この物足りないのはカフェインなのかな、といったような「何かが足りない」感は否めません。
そもそもカフェインは刺激物なのです。刺激がなくなったら物足りないと思うのも無理はないかと思います。カレーが辛くなくなったらどう思うかと同じようなものでしょう。
それでもカレー以外のうまみを感じるのか、辛くなくなったカレーはカレーと認めないのか。
デカフェ《カフェインレスコーヒー》をカフェインがないとコーヒーと認めないのか、それは各個人にお任せするとして、最近のデカフェ《カフェインレスコーヒー》は、本当に美味しくなっています。昔のコクもうまみもないデカフェ《カフェインレスコーヒー》よりはるかにコクもうまみもあり、コーヒーの本来の味をほとんど出せるデカフェ《カフェインレスコーヒー》が多くなりました。

 

美味しいデカフェはカフェイン以外がしっかり残っている

 

コーヒー豆をありのまま飲めないならコーヒーをやめればいいのに、と思うかもしれません。しかしコーヒー業界はコーヒーを愛する人たちを見捨てることはしませんでした。それは、コーヒーはカフェインがあるから美味しいのではなく、コーヒー豆がカフェインに頼らずとも、他の部分でも十分美味しいということを伝えたかったのかもしれません。
カフェインの有無でコーヒー豆の評価が変わるわけではない、コーヒー豆の魅力はカフェイン以外にある、コーヒー豆の底力はこんなもんじゃないぞ、そんなコーヒーを生業とする人たちの矜持が、デカフェ《カフェインレスコーヒー》に込められている、私にはそう思えるのです。
もちろん、カフェインを遠ざけたい、といった需要があったかもしれません。しかし私には、デカフェ《カフェインレスコーヒー》は、コーヒー豆の本質、いつも舌先や喉で漠然と感じていたコーヒーの美味しさの正体を証明するために存在しているのではないだろうか、と感じています。
カフェインがコーヒーの全てならば、デカフェ《カフェインレスコーヒー》がこんなに美味しいはずがありませんから。

デカフェ、カフェインレス、ノンカフェイン、カフェインフリーの定義

遅まきながら、デカフェ、カフェインレス、ノンカフェイン、カフェインフリーの定義を記しておきましょう。

デカフェ、とは
カフェインを含んでいるコーヒー豆からカフェインを取り除いたコーヒー豆のこと。カフェインを多く取り除くが、100%取り除けるわけではない。
なので、デカフェといってもカフェインがないコーヒー豆、というわけではない。
方法としてはおおよそ3通りありますが、おおざっぱに説明すると、
溶媒抽出法(ケミカル・メソッド又はプロセス・chemical method又はprocess)は、世界で初めて発見された、カフェインをコーヒー豆から抽出する方法。
薬剤で無理やりカフェインを抽出するが、そのほかの成分も取り除いて大きくコーヒー豆らしさ(風味や味)を損ない、薬剤の危険な残留物がついたため、今では人体に害を及ぼすとみなされ、日本ではないといってもいい。
現代ではほぼ禁じ手といってもいいこの抽出法ですが、デカフェの技術を大きく前進させた抽出法と言っていいでしょう。
水抽出法(ウォーターメソッド又はプロセス・water method又はprocess)またはスイス式水抽出法(Swiss water method)と呼ばれている方法。1941年に開発され、1943年にアメリカで特許申請された抽出法で、施設などに多額の費用が掛かり、その負担が消費者に求められるため、高いデカフェはだいたいこの抽出法です。ただ、コーヒー豆の風味や味などはよいため、質の高いデカフェを求める方に歓迎されている抽出法でもある。
CO2(二酸化炭素)抽出法は、1974年に開発された二酸化炭素でカフェインを抽出してデカフェにする抽出法です。
人体に害のない二酸化炭素を使っているので、現在世界的にも広く使われている方法です。薬剤を排出しないことも環境面において歓迎されています。
この3つの抽出法で作られたものがデカフェといいます。

カフェインは無いほうがいい

 

カフェインレス、とは
少量カフェインが含まれているもの。レスなのにカフェインあるの?と思われるかもしれません。
購入の際には注意が必要です。
デカフェとカフェインレスは、同じことを指すこともあります。

ノンカフェイン又はカフェインフリー、とは
カフェインを完全に含まないもの。取り除く作業などない、もともとカフェインがないものを指します。

「カフェインレスコーヒー」や「デカフェ」とは、カフェインの含有量が少ないですが、カフェインを少量含んでいるコーヒーのことを言います。欧州では0.1%未満など、規定が定められています。

つまり、一切カフェインを取りたくない場合、ノンカフェイン又はカフェインフリーを選ばなければなりません。
ただ、コーヒー商品としてはほぼない(代用コーヒー等はありますが)といっていいため、大きくカフェインを減じているデカフェやカフェインレスコーヒーなどを購入される方も多いのではないでしょうか。その際は、抽出法などに注目してみるのもいいのではないでしょうか。抽出法によっては、味が大きく変わってしまうものもありますので。

 

デカフェ《カフェインレスコーヒー》が求められている理由

デカフェ《カフェインレスコーヒー》を語る前に、考慮しなければいけないことがあります。
それは、なぜ、昨今人々にデカフェ《カフェインレスコーヒー》が求められるのか、普通のコーヒーではなにがいけないのか、ということです。
コーヒーが歴史に現れてから、コーヒーは徐々に人間の近くにある飲み物になっていきました。
それはもちろん、大量の消費地である欧米への生産地からの輸送方法の発達で時間的距離が縮まったこともそうですが、本当に美味しくなければただの黒い水ということで人類の友にはなりえなかったでしょう。
そして、ここで語るのは、なぜ人類の友になりえたのか、そして、ならば、なぜデカフェが必要とされるようになったのか、ということです。
まずはコーヒーが人類の友になりえた理由を語っていきましょう。

そのためにまず、「コーヒーは体にいいのか、悪いのか」を論じていきましょう。

コーヒーは世界で最も人気のある、世界各国、人種や性別に関係なく、よく飲まれている飲み物の一つです。
ただ、多くの人がコーヒーを飲むのが好きですが、様々な理由でコーヒーに含まれるカフェインの摂取を制限したいと考えています。
それは、カフェインが身体に少なからずの影響を与える物質であることを理解しているからです。
ここで表題を変えなければいけません。

カフェインは体にいいのか、悪いのか

 

カフェインは体に悪い。だけど、無いのも味気ない

 

仮に、目の前に、カフェインの塊があり、それを飲め、と言われてためらわない人は少ないでしょう。
コーヒーの味を彩る一部なので摂取するのにやぶさかでないのであって、しょうがなく、といういい方もできるかもしれない、本来なら摂取をすることはお勧めできない刺激的な物質なのです。
私たちの生活上にも目に見えない「しょうがなく」が多くあります。
細かいところをいえば、水道水がただの水ではなく、いろいろな成分を含むように、お店で売っているジュースのラベルを見ても、実際には、人体への影響があるかもしれないと言われ、研究を現在も行われている物質が入っているものも多くあります。
それらが許容されているのは、どの物質でもいえることですが、将来病気になるかもしれない、という理由では様々な飲食(物質の摂取)を繰り返す私たちにはそれだけが原因と言えないからです。それを摂取すればすぐに死にます、とでもならない限り、なかなか摂取を禁止するとはならないでしょう。

カフェインもまた、そんな曖昧(グレー)な存在と言えるでしょう。

実際には、カフェインにもいい面というか、利用できる面もあります。
分かりやすい例で言うと、眠気覚まし、としてコーヒーを飲む方も多いでしょう。
現にアメリカの開拓時代など、労働を多く求められた場所や時代にコーヒーが大きく広まったのは、カフェインの覚せいさせる(眠気を遠ざける)力が求められたからです。
言葉にすれば聞こえは悪いですが、カフェインは覚せい剤なのです。
それを人体に直ちに影響なく、適量(ほどほど)に摂取できることが、コーヒーが世界に躍進した大きな理由と言っていいでしょう。
まさに人類の歴史とマッチングしたのです。
人類が増え、仕事が増え、活動範囲が広がりますが、時間は24時間しかありません。
人の営みの中で何を削るか。そこで選ばれたのが睡眠時間です。
眠気に抗っても働かなければならない、働かせたい時に、得てして人間は「多少のことには目を瞑る」のです。
人間を働かせるために、人間が働くためにムチとして広まったなんて、まさにブラックなにくいやつですね。

その点で言うと、高度成長期の日本のビジネスマンたちが、仕事場を煙で充満させていたタバコ全盛期も、同じことが言えるでしょう。
タバコ(ニコチン)も、仕事を多くこなすためにその時代にやむなく、いや、その時代に歓迎された刺激物質です。ニコチンの刺激がムチとなってあの時代の企業戦士たちは戦い、時代を支えたのです。
ただ、そのムチ(ニコチン)はカフェインに比べてあまりにも強力で、多くの人々を苦しめ、副流煙などで周辺にも影響を与えるようになったため、急速に勢力を衰退させていきます。ただ私情を挟み言わせていただきたいのは、ムチを多用してまで働いた彼らの尽力により今の私たちの生活があることに多くの感謝の念を抱いていることです。
おそらくそれは、労働によりそれぞれの時代を支えた先人たちがタバコやコーヒーを友にしていたことを知っているからこそ、私と同じように感謝の念を抱き、墓前にタバコやコーヒーを捧げるように、現在もタバコやコーヒーの存在を許容している理由なのかもしれません。体に悪いかもしれないが「しょうがない」と。

タバコは明らかに肺にダメージを与えるなど目に見えて結果が出ているので、現在多く忌避されているだけで、もしカフェインが目に見えて内臓の色を変えたり、他人に害をもたらすものだとなっていれば、コーヒーも禁コーヒーゾーンが定められ、街角でひっそりと一部の人たちが楽しむ、という風になっていたかもしれません。

何事も摂りすぎは体に毒です。カフェインも少量であれば眠気覚まし程度で済みますが、大量に摂取すると、タバコにあったニコチン中毒のように、カフェイン中毒になります。ただ、ニコチンほど人々に嫌厭されていないのは、ニコチンほどカフェインが強力な害をもたらさないため、タバコと同じように20歳以上とか制限を付けられないのでしょう。そのため、コーヒーはタバコと違って、子供から大人まで、それこそ老若男女、誰に気兼ねすることもなく、気軽に手にすることができるのです。

そして、気軽に、簡単にコーヒーを楽しめるようになったからこそ、デカフェの必要性が増してきたのです。

前述のとおり、カフェインは必ずしも安全な物質とは言えません。
最近、コーヒーに限らず、緑茶や紅茶など、カフェインを含有する飲み物にもカフェインレスなどカフェインの無いもしくは少ない商品が現れ、求められるようになっているのは、皆さんもお気づきでしょう。
科学の発展や医学の進歩により、明らかにカフェインの悪い面が発見されたことにより、コーヒーを好む人たちの中にも、好きだけどカフェインは取りたくないという層が現れました。
それは、カフェインが特に危険視されている妊婦さんなど、主に女性が多いです。
しかし、女性への危険性が唱えられてから、まだそれほど時間はたっていません。最近、と言っていいでしょう。
そのため、世界中にコーヒーはすでに広まっており、コーヒーを愛飲する(嗜む)女性は世界中に数多く存在することになっています。
すでにコーヒーを飲む生活を過ごしてきた我々に、彼女たちに、明日からコーヒーをやめろ、と言ってもそれは無理な話です。
やむなく、カフェインの危険性を承知の上で飲む人、量を減らす人もいたでしょう。

そんな「カフェインさえなければなぁ」という需要が増してきた昨今に、デカフェ《カフェインレスコーヒー》が現れます。
発見された当初は薬剤を使ったカフェイン抽出法(溶媒抽出法)は薬剤の残留物などが危険視されましたが、水抽出法(スイスウォータープロセス)やCO2(二酸化炭素)抽出法など、人体に影響の少ないカフェインを抽出する方法が生み出されました。
コーヒーの愛飲者が多くなったが故の必要性とその需要により、今はまだ認知度が低いデカフェですが、これからどんどんコーヒー業界で存在感を増していくでしょう。
そして、デカフェ《カフェインレスコーヒー》を必要とされることが、コーヒーはカフェインという刺激物に頼らずとも愛されている飲み物、という証明になるのではないでしょうか。

カフェインがなければコーヒーじゃない、コーヒー豆に手を加えたものなんてコーヒーとは認めない、という人もいるでしょうが、カフェインを抽出されてもなおコーヒーと思える風味やコクを出すコーヒー豆の懐の深さを感じると、これもコーヒーだなぁ、と思ってしまうのでした。