デカフェ《カフェインレスコーヒー》とポリフェノール

コーヒーにはポリフェノールが多く含まれています。

デカフェ《カフェインレスコーヒー》は、コーヒー豆からカフェインを抽出したものなので、ポリフェノールはデカフェ《カフェインレスコーヒー》になったコーヒー豆に変わらず残っています。

ということは、デカフェ《カフェインレスコーヒー》は、コーヒーのマイナス要素であるカフェインを摂らずに、コーヒーの良い部分のみを摂れる、ということになります。

 

そもそも、ポリフェノールとは何でしょうか。

 

科学的な説明をすると、分子内にフェノール性水酸基を複数もつ植物成分のの総称です。

複数を意味するギリシャ語のPOLY(ポリ)をあわせて「ポリフェノール」となります。

 

コーヒーノキなどの植物は、栄養不足や塩害、水不足などのストレスにさらされた時、防衛のために様々な物質を自ら生み出して抵抗します。

ポリフェノールは、紫外線に抵抗するために植物から生み出されます。

紫外線からの防衛と、紫外線により生み出される活性酸素を緩和する抗酸化作用をポリフェノールは行っています。

コーヒーのポリフェノールは「クロロゲン酸類」といい、緑茶のポリフェノールは「カテキン」、赤ワインのポリフェノールは「アントシアニン」、大豆のポリフェノールは「イソフラボン」、チョコレートのポリフェノールは「エピカテキン」、最近よく聞くウコンのポリフェノールは「クルクミン」と言います。

 

どのポリフェノールも、皆さんどこかで聞いたことがあるかもしれません。名称はともかく、それぞれの植物にポリフェノールがあるということ自体は、皆さんご存知ではないのでしょうか。そして、それぞれの植物が人間に今までもたらしてきたものを考えると、ポリフェノールが体にいいもの、ということも、実感としてご理解いただけたのではないでしょうか。

 

「ポリフェノールが人体に及ぼすもの」

  • 動脈硬化の予防

動脈硬化は体内に生じる活性酸素によってコレステロールが酸化されることで起こります。

ポリフェノールは酸化を抑える抗酸化力があります。

  • 血圧低下作用

動脈硬化の予防とともに、血管のつまりを予防して血管を広く保ちます。

  • アレルギーを抑える

アレルギーを発症する際にも活性酸素が影響しています。

活性酸素を抑えるポリフェノールが、アレルギーを抑制する働きをします。

  • 美容効果と老化の抑制

活性酸素を抑制することは、体内や肌の老化を抑制することに繋がります。

目に見えないお肌の天敵、紫外線による肌細胞へのダメージや、シミの原因になるメラニンなど、紫外線によるダメージのほとんどが活性酸素と関係するため、抗酸化力の高いポリフェノールの効果が認められています。

  • 糖尿病に効果?

膵臓から分泌される、当分を効率的に体内に取り込むインスリンを正常に分泌する効果がポリフェノールにあると言われています。

 

「自然と摂っているポリフェノール」

身近な飲み物のポリフェノールの含有量で言うと、赤ワインが多く、同じぐらいにコーヒーがポリフェノールを含有しています。緑茶、紅茶のポリフェノールは、コーヒーとワインに比べるとおよそ半分ぐらいになります。

コーヒーはワインと同じぐらいポリフェノールを含有している

上記の飲み物を飲んだことがないという人は少ないかと思います。

そして、日本人の生活習慣などを考えると、含有量の多いコーヒーが、日本人に多くのポリフェノールをもたらしていることになります。

では、どうしてコーヒーはポリフェノールが豊富なのでしょうか。

 

それは、コーヒーノキ(コーヒー豆)が育つ範囲が関係しています。

コーヒー豆は、赤道を挟んだ北緯25度と南緯25度の間、いわゆるコーヒーベルトと呼ばれる、熱帯・亜熱帯地域で育ちます。

もちろん紫外線が強い地域で、その紫外線の強さから身を守るために、多くのポリフェノールを生成し、コーヒー豆に凝縮されます。

コーヒーのポリフェノールであるクロロゲン酸類は、生豆の状態が一番多く含まれることになります。焙煎すると少なくなりますが、それでもワインと遜色ないのであれば、もともとの含有量は、ポリフェノールを生み出す植物のなかでも屈指と言えるのではないでしょうか。

 

効果的にポリフェノールを摂取するには、身近な飲み物ではコーヒーが一番効率的ですが、同時にカフェインも摂取することになります。

カフェインは、すでに口を酸っぱくするほど述べている通り、摂取しすぎると危険な物質であり、美容を気にする女性には、カフェインはいい結果をもたらしていません。

紅茶や緑茶にもカフェインが含まれています。

では、何を飲めばいいの?水じゃ味気ないよ。という女性には、カフェインレスの飲み物をオススメするしかありませんが、昔に比べればカフェインレス飲料のバリエーションは増えましたが、いまだになかなか簡単には手に入りません。

その中で一番手に入りやすいカフェインレス飲料は、デカフェ《カフェインレスコーヒー》と言えるでしょう。

今では多くのコーヒーショップに並び、メニューも豊富で、店内で気軽に注文して飲むことができます。

ポリフェノールの含有量が多いコーヒー豆からカフェインを抽出しただけのデカフェ《カフェインレスコーヒー》は、他の飲み物のなかでも群を抜いてポリフェノールが摂取でき、かつ害の少ない女性の味方ともいえるカフェインレス飲料と言えるでしょう。

最近は本当に美味しいデカフェ《カフェインレスコーヒー》がコーヒーショップにも並んでいて、コーヒーが好きな女性にも、納得していただけるコーヒーになっています。

機会がございましたら是非一度お試しください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水抽出法(スイスウォータープロセス)

最近、デカフェについて調べていると、ふと引っかかるものを感じました。

水抽出法(スイスウォータープロセス)、勘違いしていたのかもしれません。

私はてっきり、

コーヒー豆→カフェインとそれ以外の成分を水で抽出→成分が抽出された豆とカフェインと成分の溶けだした水に分ける→カフェインとそれ以外の成分の溶けこんだ水をフィルターにかけてカフェインのみを抽出→カフェイン以外の成分のみの水が出来上がる→それを最初の、全ての成分が抽出された豆に戻す→デカフェの出来上がり

だと思っていました。

(図にするとこんな感じ)

コーヒー豆を水抽出法(スイスウォータープロセス)でカフェインレスにする方法 誤解

しかし、よく調べると、

コーヒー豆→カフェインとそれ以外の成分を水で抽出→成分が抽出された豆とカフェインと成分の溶けだした水に分ける→カフェインとそれ以外の成分の溶けこんだ水をフィルターにかけてカフェインのみを抽出→カフェイン以外の成分のみの水が出来上がる→カフェイン以外が溶け込んでいる水に、他の普通のコーヒー豆(カフェインあり)を浸すカフェイン以外はすでに飽和状態なので、カフェインのみが溶けだすカフェインのみが溶けだした豆が残る→デカフェの出来上がり

(図にするとこんな感じ)

コーヒー豆を水抽出法(スイスウォータープロセス)でカフェインレスにする方法 正解

途中、数工程があるようですが、ざっくり説明するとこんな感じのようです。

もちろん、カフェイン以外の成分を戻す意味もありますが、足し算ではなくて引き算のような工程だったのですね。

自戒をこめて、ここに恥をさらしておきます。

 

デカフェ《カフェインレスコーヒー》の成り立ち

1900年代初頭、コーヒー豆の輸送中にコーヒー豆が海水に浸され、自然にカフェインの一部が抽出された後、ドイツのコーヒー販売会社ルートヴィッヒ・ロゼリウスが偶然、デカフェ《カフェインレスコーヒー》を発見しました。

数年後、ロゼリウスは脱カフェインする手段として初めて特許を取得しました。しかし、彼の方法は、塩水だけでなく、ベンゼンという強力な化学溶剤も使用しました。

(ベンゼンは吸入すると少量でも眠気、めまい、頭痛、目、皮膚、呼吸器の刺激を引き起こすことがあります。妊婦の血液疾患、および胎児発達の問題に影響を及ぼすともいわれています。)

 

いまでは、コーヒーメーカーはより安全なカフェイン除去方法に切り替えましたが、カフェインを取り除くために強力な化学物質を使用しているものも多くあります。その一方で、カフェインと共にコーヒーの健康的な化合物が失われているのでは、とも言われています。

 

通常のコーヒー豆からカフェインを除去するには、3つの重要な方法があります。最も一般的なものは化学溶剤の使用するもの。そして液体の二酸化炭素(CO2)を使用。最後は水を使用したものです。

美味しいデカフェを飲もう

溶媒抽出

1906年にドイツで開発された、世界最初の脱カフェイン法。ケミカル・メソッド(chemical method又はprocess)と呼ばれます。エチルアセテート(天然には果実に含まれる)やメチレンクロライド(塗料、医薬品などの産業用に一般的に使用される)などの合成化学物質に依存したもので、カフェイン以外の成分も抽出してしまう欠点があります。

 

CO2(二酸化炭素)抽出

1974年に開発された、二酸化炭素でカフェインを抽出する方法です。

薬(溶媒)を使用しないので、環境面においても優れています。

 

水抽出

ウォーター・メソッド(water method又はprocess)、またはスイス式水抽出法(Swiss water method)と呼ばれています。1941年に開発され、1943年にアメリカで特許申請されました。

コーヒー生豆を水槽に入れ、水通しをしてカフェインとそのほかの水に溶けやすい成分も抽出します。そして抽出した水から有機溶媒を使ってカフェインだけを除去して残った成分を再び生豆に戻す方法です。

カフェイン以外を取り除かないことから、最も風味豊かな方法と言われていますが、そのため大変高価になり、大規模に生産することが困難な方法です。

マウンテンウォーター製法という水抽出法の名称を耳にすることがあるかもしれませんが、これはメキシコの山の水を使った水抽出法の名称です。

 

上記のとおり、3種類の製法でデカフェは作られていますが、ご覧のとおり、デカフェはカフェインのあるコーヒー豆からカフェインを抽出して作られることから、完全にカフェインを除去できているとは言えないものなのです。

限りなくカフェインを取り除いたコーヒー豆(ただし、カフェインが無いとは言ってない)、それがデカフェ《カフェインレスコーヒー》です。